インターポール行きが取りざたされるなか彼がそのことを話さなかったのは、所詮佳純がその程度の恋人だったからだ。こちらが別れを切り出さなくても同じ結果になっていたに違いない。
(今頃、瞬さんはインタポールで活躍してるのかな。たしか赴任は数年だって聞いたから戻ってきてるかもしれないけど。斉藤さんと結婚して子どもも生まれてたりして)
時間とともに記憶は薄れていく。彼の顔も声も温もりも。代わりにあるのはなによりも愛しい存在を守り育んでいく現実だ。
もうパトカーを見ても心は痛まないし、目の前で揺れるコスモスはあの時の色ではない。
(勝手にこの子を産んでごめんなさい。でも後悔は一切していません。二度と会うことはないけれど、どうか瞬さんも今幸せでありますように)
佳純は目を細め、秋の空を見上げた。
「さて、そろそろバス停に行こうか」
一息ついたあと、大輝に声をかける。
「うん……」
大輝はベンチに座ったまま動かない。昨日も寝るのが遅かったし、はしゃぎすぎて疲れてしまったのだろうか。佳純は水筒を片付けながら励ます。
「眠くなっちゃった? でもバス乗れるよ。がんばろう」
(今頃、瞬さんはインタポールで活躍してるのかな。たしか赴任は数年だって聞いたから戻ってきてるかもしれないけど。斉藤さんと結婚して子どもも生まれてたりして)
時間とともに記憶は薄れていく。彼の顔も声も温もりも。代わりにあるのはなによりも愛しい存在を守り育んでいく現実だ。
もうパトカーを見ても心は痛まないし、目の前で揺れるコスモスはあの時の色ではない。
(勝手にこの子を産んでごめんなさい。でも後悔は一切していません。二度と会うことはないけれど、どうか瞬さんも今幸せでありますように)
佳純は目を細め、秋の空を見上げた。
「さて、そろそろバス停に行こうか」
一息ついたあと、大輝に声をかける。
「うん……」
大輝はベンチに座ったまま動かない。昨日も寝るのが遅かったし、はしゃぎすぎて疲れてしまったのだろうか。佳純は水筒を片付けながら励ます。
「眠くなっちゃった? でもバス乗れるよ。がんばろう」



