取り繕ったように話す芹那の声を佳純は他人事のように聞き続けた。
それから十日後の夕刻、空っぽになったアパートの部屋の真ん中に佳純は立っていた。
「ふぅ、短い時間で大変だったけど、なんとかここまでたどり着けた」
佳純は“鮫島瞬”と表示されたスマートフォンの画面を見つめて、心を落ち着かせるように息を吐いた。
「……よし」
ボタンを押すと、三回のコールで彼と繋がる。
『佳純?』
「瞬さん、お仕事中にすみません」
『いや、今は大丈夫だ。それよりもなかなか連絡せずにすまない』
そんなことはない。彼は帰国してから数度電話を掛けてくれていた。それを取らずにお互い仕事が忙しいからと簡単なメッセージを送ってすませていたのは自分だ。
だって、声を聞いたら決心ができなくなると思ったから。
『でも、わざわざ電話くれるなんて、なにかあったのか?』
「お伝えしたいことがあって」
佳純は努めて平静な声を出した。
『うん?』
「――私たち、お別れしましょう」
電話の向こうで息をのむ気配を感じた。
『言っている、意味がわからないんだが』
瞬の声は聞いたことがないほど硬い。
それから十日後の夕刻、空っぽになったアパートの部屋の真ん中に佳純は立っていた。
「ふぅ、短い時間で大変だったけど、なんとかここまでたどり着けた」
佳純は“鮫島瞬”と表示されたスマートフォンの画面を見つめて、心を落ち着かせるように息を吐いた。
「……よし」
ボタンを押すと、三回のコールで彼と繋がる。
『佳純?』
「瞬さん、お仕事中にすみません」
『いや、今は大丈夫だ。それよりもなかなか連絡せずにすまない』
そんなことはない。彼は帰国してから数度電話を掛けてくれていた。それを取らずにお互い仕事が忙しいからと簡単なメッセージを送ってすませていたのは自分だ。
だって、声を聞いたら決心ができなくなると思ったから。
『でも、わざわざ電話くれるなんて、なにかあったのか?』
「お伝えしたいことがあって」
佳純は努めて平静な声を出した。
『うん?』
「――私たち、お別れしましょう」
電話の向こうで息をのむ気配を感じた。
『言っている、意味がわからないんだが』
瞬の声は聞いたことがないほど硬い。



