別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました

 医師に促されて覗いた黒いエコー画面の中に小さな豆のようなもの、そしてわずかな鼓動が見えた。

 どんな状況でも、たしかに命は息づいている。懸命に鼓動を繰り返す存在に思わず込み上げるものがあった。

 現在妊娠六週、順調にいけば九月に出産予定だ。

 受診を終えた佳純は区役所を訪れ、用事をすますと駅の方へ足を向ける。人に会う予定があったからだ。

 駅の近くにあるカフェに到着しドアを開ける。落ち着いた店内の奥まった席に芹那が座っていて、こちらに気づくとにっこりと微笑んだ。今日も高級そうなスーツを身にまとった上品で美しい佇まい。カジュアルなニットとウエストの緩いスカートの自分とは大違いだ。
 
 佳純は彼女の斜め前に座るとハーブティーを注文した。

「ごめんなさいね、急に呼び出して」
 紅茶を前に芹那が微笑む。実は今日の朝、彼女から電話で会えないかと呼び出されていたのだ。そして佳純はそれを断らなかった。

「今日はお休みだったので」

 硬い声で応えると芹那は笑みを深めた。

「今、ウチがいろいろ大変なのは知ってるわよね」

「はい」