別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました

 たったひとりの血のつながった叔父をこれ以上嫌いたくない。そう思い佳純は電話を切った。


 沈んだ気持ちのまま待ち合わせのホテルに到着した佳純は、エントランスの大きな自動扉に映る自分の顔が暗いことに気づく。

(こんなどんよりした顔で瞬さんに会いたくない。笑顔でいよう)

 待ち合わせの時間まではまだ十五分くらいある。今のうちに気持ちを切り替えておこうとそっと強張った頬を両手で押さえ、ロビーに足を進めた。

 東京丸の内、皇居近くに立つホテルは豪華さと気品に溢れていた。もちろん佳純が訪れるのは初めてだ。

 ロビーに入ってまず目を奪われたのが中央に飾られた大きな装花。大きな壺のような花器に枝物などを大胆に使いながら豪華かつセンス良く仕上げてあり、この空間の主役になっている。

(すごい! もはやアートだ。うちでもホテルからのお仕事受けたことあるけど、ここまで本格的なものは扱ったことはないな。写真、撮ってもいいかな)

 吸い寄せられるように近づいた佳純はスマートフォン片手に装花の周りをぐるりと回る。

「佳純」

 自分を呼ぶ声に振り返るとそこには瞬が立っていた。

「あ……瞬さん」