別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました

 生前祖母が零していたのを聞いたことがある。

 祖父母夫婦は子どもたちが成人した後離婚し、祖父はその数年後亡くなっているのだが、祖父は二歳違いの男兄弟を常に競わせ、優劣をつけて育てたらしい。

 努力家で優秀だった父に対して、何事も楽な道を選ぶ叔父は叱られてばかりだったという。そのせいか父に強い劣等感を持っており、花屋になった父をいつもバカにしていた。

 佳純はそれでも叔父にどこか期待していた。心の中では亡くなった父や祖母を悼む気持ちを持っているはずだと。でも、叔父からはそれが全く感じられなかった。

(亡くなった人のことを悪く言うなんて)

「とにかく、バイトも辞めたし、お金は払えないから」

 虚しさにさいなまれながら声を絞り出す。

『ばあさんの入院費で借金しているんだよ。アルバイトならまたはじめればいい』

「叔父さん、そもそも私の渡したお金、全部おばあちゃんのために使っていたわけじゃないよね」

 すると電話の向こうでチッと舌打ちする音が聞こえてきた。

『今までは何でも言うことを聞いてたのに、変な知恵をつけやがって――男でもできたのか?』

「……もう、連絡しないで」