いつもなら、手を動かしながらする世間話が今日は全くできなかった。
「……ありがとうございました。お気をつけて」
どうか変な女だと思われていませんようにと願いながら、電子マネーで支払いを終えた鮫島に紫色の花束を渡す。すると代わりに掌に何かが軽く押し付けられた。
「えっ?」
手の中の小さな紙片の存在に佳純は目を丸くする。彼は真っすぐこちら見ていた。
「よかったら連絡をくれませんか」
「鮫島さ……」
「待ってる」
佳純の返事を待たずに鮫島はそう言い残すと、花束を持って店を出ていく。
無言で彼の後姿を見送った佳純は手の中のメモ用紙に目を落とし、しばしの間固まる。
そこには“鮫島瞬”という名前と、彼の携帯番号と思われる数字が綺麗な字で書かれていた。
それから約1週間後の日曜日の昼過ぎ、佳純は信じられない気持ちで国産高級車の助手席に座っていた。
(まさか、鮫島さんとふたりで出かけることになるなんて)
「……ありがとうございました。お気をつけて」
どうか変な女だと思われていませんようにと願いながら、電子マネーで支払いを終えた鮫島に紫色の花束を渡す。すると代わりに掌に何かが軽く押し付けられた。
「えっ?」
手の中の小さな紙片の存在に佳純は目を丸くする。彼は真っすぐこちら見ていた。
「よかったら連絡をくれませんか」
「鮫島さ……」
「待ってる」
佳純の返事を待たずに鮫島はそう言い残すと、花束を持って店を出ていく。
無言で彼の後姿を見送った佳純は手の中のメモ用紙に目を落とし、しばしの間固まる。
そこには“鮫島瞬”という名前と、彼の携帯番号と思われる数字が綺麗な字で書かれていた。
それから約1週間後の日曜日の昼過ぎ、佳純は信じられない気持ちで国産高級車の助手席に座っていた。
(まさか、鮫島さんとふたりで出かけることになるなんて)



