別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました

 やっぱり彼らの服に濡れたような跡は見えない。完全に言いがかりだ。
 でも、大人の男ふたりを前に怖くてはっきり言い返すことができない。

 これはもう店の中に助けを求めるしかないと思った時、男のひとりが佳純の手首を掴んできた。

「いくら払ってもらおうかな~身体で払ってもらってもいいんだけど」

「や、離し……」

 手首からゾワリと嫌な感覚が走り振りほどこうとした瞬間、低い声が耳に入ってきた。

「いくらだ」

 声の主は佳純の手首を握る男の腕を捻るようにすばやく掴んだ。

「へっ? イテテテ!」

 男は間抜けな声を出して、佳純の手首から手を離す。
 その隙に手を引き一歩下がった佳純は長身の男性の存在に目を丸くした。

「……鮫島さん?」

 つい先程まで思いを馳せていた鮫島がそこに立っていた。

「見たところ、服はどこも濡れても汚れてもいないようだが、いくら弁償が必要なんだ?」

 鮫島は落ち着いた声を出しながら、佳純を背中側に庇うように立った。

「なんだよテメエ!」

「この店に花を買いに来た客だが」