別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました

 顔を上げて振り返るとそこにはふたり組の男性が立っていた。ふたりとも二十代後半くらいで派手な身なり。見るからに柄の悪い人相をしている。
 彼らが立っているのはバケツを倒した逆の方向だ。水がかかったとは考えづらい。

(でも、もしかして本当に水が跳ねちゃったのかも)

「も、申し訳ありません」
 佳純が慌てて頭を下げて謝るとふたりは「いいって」とニヤニヤと笑っている。

「ねー、おねーさんかわいいね。今から俺たち遊びに行くんだけど、一緒にどう?」

 その時佳純はこの人たちに絡まれていると理解した。

「あの、仕事中なので……」

 店の前でのトラブルは他のお客様の迷惑になる。早く立ち去ってほしいと願いながら再び頭を下げるが、諦めくれるどころか、さらに距離を詰めてきた。

「仕事終わるの何時? 迎えに来るからさー」

「いえ、すみません。そういったことは」

 後退りながら声を絞り出すと、男はわざとらしい声を出した。

「俺ずぶ濡れなんだけどぉ、だったらこの服、弁償してもらおうかな!」

「ブランド服だから高いよー。お姉さんに払えるの?」

「で、でも……」