別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました

 柚希は目を瞬かせた後、どういうことかと問うように佳純に視線をよこしてきた。

「ね、熱で変な夢でも見たのかもしれないね。さ、大輝帰ろっか!」

「ちょっと、佳純?」

「ゆずせんせい、さようなら、明日もよろしくお願いします!」

 大輝の手を引き柚希から引き離すように、その場をそそくさとに去る。

(瞬さんと再会したなんてわざわざ柚希に話すこともないよね。きっともう会うことは無いだろうし)

 昨日の夜、佳純は瞬に電話をかけていた。
 助けてもらったのに無視するのはよくないし、心に引っかかりのあるまま過ごすのは嫌だったからだ。

 大輝が元気になってもう心配ないことと改めてのお礼、さらにこう伝えた。

『お互い、大事な人と新しい生活をしていると思います。この前のことは忘れてこれからもお元気でいて下さい』

 匂わせるような言い方は嫌だったが、明確な嘘をつく勇気もなかった。
 あの伝え方で瞬は佳純には夫がいると思ってもらえたはずだ。

 その証拠に瞬は『わかった』と端的に返事をしてくれた。自分たちのことはなかったことにしてくれるだろう。彼にとってもその方が都合がいいのだから。