別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました

 瞬が大輝におもちゃを渡すと大輝は嬉しそうな声を上げた。

「ママ、もらった」

「ちょ、ちょっと大輝」

 元気が出たのは嬉しいが、簡単にものにつられている。

 それでも瞬の車で家まで送ってもらうわけにもいかない。迷惑をかけたくなかったし、なにより車の中で大輝の父親のことを聞かれたら誤魔化しきれる気がしない。

 そんな佳純の心を読んだのか瞬が先回りした。

「佳純、今日は余計な話はしない。ただ俺が心配なだけだから送らせてくれないか」

 一歩も引かない姿勢に、結局佳純は申し出を断れなくなってしまった。

 瞬が設置したチャイルドシートは造りがしっかりした立派なものだった。初めて座る大輝は最初ぎこちなかったが、車が走り出すとすぐにスヤスヤと寝入ってしまった。手にはしっかりパトカーのおもちゃを抱いている。

 後部座席で大輝と並びながら、自宅の住所を告げ佳純は改めて頭を下げる。

「鮫島さん、ご迷惑をかけて申し訳ありません。今日かかった分のお金はお支払いします」

 あえて名前ではなく苗字で呼んだのはきちんと一線を引くためだ。自分たちは今、ただの他人なのだから。