〇4話の続き・駅前
龍崎「本当に鈴原、なんだよな……」
怜那「そうだよ」
龍崎「えーっと……」
戸惑っている様子の龍崎。
鈴原「……私服って、こういう感じなのか?」
怜那「(あ、そっか)」
怜那「(私服で会うのは初めてだから、そう捉えられちゃうのか)」
【今日の格好は、龍崎くんのため】
【でも、それを正直に言うのはどうなんだろう】
【イソスタのアカウントを特定した、なんてバレても困るし】
怜那「そういうわけじゃないけど、佳凛……妹がね」
龍崎「妹さんが?」
怜那「そう。男子と出かけるなら、お洒落くらいしないと! って、なんか変に気合入れちゃって」
はは、と笑って誤魔化す怜那。
怜那「変かな?」
龍崎「いや、全然。……鈴原って、なんでも似合うんだな」
真剣な顔で言われ、照れる怜那。
龍崎「じゃあ行くか」
お互い歩き出す。少しぎこちない。
〇午前11時前・ラーメン屋
オープン前だが、既に行列。
【すごい列……】
【人気のお店って聞いてたけど、ここまでとは】
龍崎「悪い、並ばせて」
怜那「ううん、全然。美味しい物のためだし」
龍崎「ありがとな。一人ならさすがに並べなかったから」
【私と一緒だから、ってことだよね】
少しどきっとする怜那。
怜那「(周りからは、カップルに見えてたりするのかな)」
〇ラーメン屋に入店
二人がけの席に向かい合って座っていて、テーブルの上にはかなりのボリュームのラーメン。
怜那「美味しそう……!」
怜那・龍崎「「いただきます」」
お互い、無言で必死に食べる。
そして完食。
怜那「美味しかった!」
龍崎「相変わらずの食いっぷりだな」
怜那「(あ)」
怜那「(せっかくこんな格好したのに、台無しだったかな……)」
龍崎「しかも美味そうに食べるから、見てて楽しい」
怜那の目を見て柔らかく笑う龍崎。
【……大食いなんて、女の子らしくはないかもしれない】
【でも、龍崎くんは褒めてくれた】
【私だって、いっぱい食べる自分のこと、嫌いじゃないし】
龍崎「この後もいろいろ行きたい店考えてるんだけど、腹に余裕ある?」
怜那「余裕しかないかな」
ちょっとおどけて答える怜那。それがツボにはまったのか、龍崎は大笑い。
龍崎「鈴原って、本当面白いわ」
【ここまで笑顔の龍崎くんは初めて見たかも】
ときめきつつ、喜ぶ怜那。
〇夕方・屋台の店などが多くある公園
怜那がベンチに一人座り、龍崎を待っている。
(人が多く、ベンチを先に確保する必要があるため)
【ラーメン、あんみつ、たこ焼き……そして次はクレープ】
【本当に今日、食べてばっかりだな】
今までのデートを振り返り、にやにやする。
ナンパ男「ねえ、君一人?」
怜那「……え?」
怜那「(まさかこれって、ナンパ?)」
初めてのことに戸惑う怜那。
怜那が戸惑っていると、ナンパ男が勝手に隣に座る。
ナンパ男「可愛いね。俺、普段こういうことしないんだけど、本当にタイプで……」
怜那「(100%嘘でしょ!)」
ナンパ男「連絡先教えてくれない?」
怜那「……いえ。あの、人を待ってるので」
ナンパ男「連絡先だけでいいから! だめ?」
かなりしつこいナンパ男。
怜那「(どうしたらいいの?)」
怜那「(こういう時って、連絡先交換して、後からブロックするのが正解だったりする?)」
ナンパ男「本当お願い!」
クレープを両手に持った龍崎が現れ、怜那とナンパ男の間に足を置く(ベンチに足をあげる)。
龍崎「おい」
ナンパ男を睨みつける。
龍崎「俺の女に何の用?」
ヤンキーにしか見えない顔と口調。ナンパ男がビビり上がり、すぐに逃げていく。
怜那「(龍崎くん、すご……)」
単純に感心し、数秒後に顔が赤くなる。
怜那「(そ、そういえば今、俺の女って……!)」
怜那「(嘘なのは分かってる、分かってるけど……!)」
龍崎「悪い。俺が一人にしたから」
怜那「ううん! 買いに行ってくれてたわけだし、龍崎くんは悪くないよ」
龍崎「いや、俺が悪かった。鈴原が男に声かけられることくらい、分かったはずなのに」
くそっ、と悔しがっている龍崎。
龍崎「……怖くなかったか?」
怜那「まあ、しつこかったしね」
龍崎「マジでごめん」
【龍崎くんの責任じゃないのに】
【優しいな】
怜那「それより、クレープ食べようよ。ね?」
二人でクレープを食べ始める。苺と生クリームたっぷりのかなりのボリューム。
龍崎「食べ終わったら、家まで送るから」
怜那「えっ? いや、いいって。電車逆方向でしょ?」
龍崎「絶対送る」
むきになっている龍崎。
【……こんなの、女の子扱いされてるみたい】
【やっぱり今日の格好、意識してくれたのかな?】
龍崎「……それとさ、鈴原」
怜那「なに?」
龍崎「俺の勘違いだったらマジで恥ずかしいけど、俺のためにそんな格好、しなくていいから」
怜那「……え?」
【どういうこと?】
【龍崎くんのためってバレてたの?】
【しかも、しなくていいって……】
怜那「(似合ってない、のかな)」
急に表情が暗くなる怜那。
龍崎「鈴原! なんか変な誤解してるだろ」
怜那「誤解?」
龍崎「似合ってないとか、嬉しくなかったとかじゃないから。似合ったし、嬉しかったからな」
怜那を励ますためにとっさに本音を言ってしまい、赤くなる龍崎。
龍崎「俺はただ、無理して自分が好きでもない格好する必要はないって言いたいだけで……」
龍崎「その、本当にそういう格好も好きならいいんだけど」
過去に「王子って、好きでやってんの?」と言われたこと(第2話のシーン)を思い出す。
【龍崎くんって、いつもそうだ】
【見た目で私を決めないし、私の内面も決めつけない】
怜那「……正直、こういう系統の服が好きってわけじゃないよ」
【似合わないかも……なんて抜きにして、こういう格好はそんなに好みじゃない】
本当に好きな服(ユニセックスなデザインやカジュアルなもの)を思い浮かべる怜那。
【だけど、無理をしてこの服を着てるわけでもない】
怜那「でも今日はこれを着たいって、私が思ったんだ」
真剣な目で龍崎を見つめる。
【龍崎くんのためなら、私らしくなくて、好みじゃない服だって着てみたいと思えた】
【どんな反応をしてくれるんだろうって、すごくわくわくした】
龍崎「……なら、よかった」
龍崎が片手で顔を隠す。
怜那も恥ずかしくなり、お互いに無言でクレープを食べる。
クレープを食べ終わる。
龍崎「じゃあ、そろそろ行くか」
怜那「うん」
龍崎「ゴミ捨てに行こう。今度は一緒に」
二人で近くのごみ箱まで歩き、クレープのごみを捨てる。
いつの間にか夕暮れ時。
怜那「(結構長い間、龍崎くんと一緒にいたな)」
怜那「(今日、ずっと楽しかった)」
怜那「(龍崎くんも、そう思ってたらいいな)
龍崎「今日、マジで楽しかったよな」
しみじみと言う龍崎。怜那もそう思っているだろうと当たり前のように思っていそうな明るい表情。
怜那「うん、楽しかった」
龍崎「次は、ちょっと遠出とかしてもいいよな」
怜那「(次、あるんだ)」
怜那「だね。土日なら時間もあるし」
龍崎「鈴原も気になるところあったらLIMEででも送って」
怜那「うん。大盛りの店、探しとくね」
龍崎「別に大盛りじゃなくていいし、飯屋じゃなくてもいいから」
さらっと言う龍崎と、動揺してかたまる怜那。
そんな怜那を見て、堪えきれず龍崎も照れる。
龍崎「……なんていうかまあ、普通にまた出かけようぜって話」
【どうしよう】
【嬉しすぎて、にやけちゃいそう】
【気持ちが顔に出るな、なんて祈るのは初めてだ】
穏やかな空気のまま、駅へ向かって歩き出す二人。
莉沙「あれ? 翼くん?」
いきなり背後から莉沙(茶髪ゆるふわロング、美人なお姉さん系。龍崎の元カノ)に声をかけられる。
莉沙「やっぱり、翼くんだ!」
可愛らしく笑い、駆け寄ってくる莉沙。いい匂いがする。
莉沙「久しぶり! 転校しちゃってから全然会えないんだもん。元気にしてた?」
怜那に気づいた莉沙が、怜那にも笑顔を向ける。
怜那「(誰、この人……)」
慌てて龍崎の顔を見る。血の気が引いた、動揺しきった顔をしている。
龍崎「……莉沙、さん……」
莉沙「なあに、翼くん?」
【なに、その顔】
【私は、龍崎くんのこんな顔知らない】
苦しくなって、俯く怜那。
【こんな顔、私には見せてくれたことない】
龍崎「本当に鈴原、なんだよな……」
怜那「そうだよ」
龍崎「えーっと……」
戸惑っている様子の龍崎。
鈴原「……私服って、こういう感じなのか?」
怜那「(あ、そっか)」
怜那「(私服で会うのは初めてだから、そう捉えられちゃうのか)」
【今日の格好は、龍崎くんのため】
【でも、それを正直に言うのはどうなんだろう】
【イソスタのアカウントを特定した、なんてバレても困るし】
怜那「そういうわけじゃないけど、佳凛……妹がね」
龍崎「妹さんが?」
怜那「そう。男子と出かけるなら、お洒落くらいしないと! って、なんか変に気合入れちゃって」
はは、と笑って誤魔化す怜那。
怜那「変かな?」
龍崎「いや、全然。……鈴原って、なんでも似合うんだな」
真剣な顔で言われ、照れる怜那。
龍崎「じゃあ行くか」
お互い歩き出す。少しぎこちない。
〇午前11時前・ラーメン屋
オープン前だが、既に行列。
【すごい列……】
【人気のお店って聞いてたけど、ここまでとは】
龍崎「悪い、並ばせて」
怜那「ううん、全然。美味しい物のためだし」
龍崎「ありがとな。一人ならさすがに並べなかったから」
【私と一緒だから、ってことだよね】
少しどきっとする怜那。
怜那「(周りからは、カップルに見えてたりするのかな)」
〇ラーメン屋に入店
二人がけの席に向かい合って座っていて、テーブルの上にはかなりのボリュームのラーメン。
怜那「美味しそう……!」
怜那・龍崎「「いただきます」」
お互い、無言で必死に食べる。
そして完食。
怜那「美味しかった!」
龍崎「相変わらずの食いっぷりだな」
怜那「(あ)」
怜那「(せっかくこんな格好したのに、台無しだったかな……)」
龍崎「しかも美味そうに食べるから、見てて楽しい」
怜那の目を見て柔らかく笑う龍崎。
【……大食いなんて、女の子らしくはないかもしれない】
【でも、龍崎くんは褒めてくれた】
【私だって、いっぱい食べる自分のこと、嫌いじゃないし】
龍崎「この後もいろいろ行きたい店考えてるんだけど、腹に余裕ある?」
怜那「余裕しかないかな」
ちょっとおどけて答える怜那。それがツボにはまったのか、龍崎は大笑い。
龍崎「鈴原って、本当面白いわ」
【ここまで笑顔の龍崎くんは初めて見たかも】
ときめきつつ、喜ぶ怜那。
〇夕方・屋台の店などが多くある公園
怜那がベンチに一人座り、龍崎を待っている。
(人が多く、ベンチを先に確保する必要があるため)
【ラーメン、あんみつ、たこ焼き……そして次はクレープ】
【本当に今日、食べてばっかりだな】
今までのデートを振り返り、にやにやする。
ナンパ男「ねえ、君一人?」
怜那「……え?」
怜那「(まさかこれって、ナンパ?)」
初めてのことに戸惑う怜那。
怜那が戸惑っていると、ナンパ男が勝手に隣に座る。
ナンパ男「可愛いね。俺、普段こういうことしないんだけど、本当にタイプで……」
怜那「(100%嘘でしょ!)」
ナンパ男「連絡先教えてくれない?」
怜那「……いえ。あの、人を待ってるので」
ナンパ男「連絡先だけでいいから! だめ?」
かなりしつこいナンパ男。
怜那「(どうしたらいいの?)」
怜那「(こういう時って、連絡先交換して、後からブロックするのが正解だったりする?)」
ナンパ男「本当お願い!」
クレープを両手に持った龍崎が現れ、怜那とナンパ男の間に足を置く(ベンチに足をあげる)。
龍崎「おい」
ナンパ男を睨みつける。
龍崎「俺の女に何の用?」
ヤンキーにしか見えない顔と口調。ナンパ男がビビり上がり、すぐに逃げていく。
怜那「(龍崎くん、すご……)」
単純に感心し、数秒後に顔が赤くなる。
怜那「(そ、そういえば今、俺の女って……!)」
怜那「(嘘なのは分かってる、分かってるけど……!)」
龍崎「悪い。俺が一人にしたから」
怜那「ううん! 買いに行ってくれてたわけだし、龍崎くんは悪くないよ」
龍崎「いや、俺が悪かった。鈴原が男に声かけられることくらい、分かったはずなのに」
くそっ、と悔しがっている龍崎。
龍崎「……怖くなかったか?」
怜那「まあ、しつこかったしね」
龍崎「マジでごめん」
【龍崎くんの責任じゃないのに】
【優しいな】
怜那「それより、クレープ食べようよ。ね?」
二人でクレープを食べ始める。苺と生クリームたっぷりのかなりのボリューム。
龍崎「食べ終わったら、家まで送るから」
怜那「えっ? いや、いいって。電車逆方向でしょ?」
龍崎「絶対送る」
むきになっている龍崎。
【……こんなの、女の子扱いされてるみたい】
【やっぱり今日の格好、意識してくれたのかな?】
龍崎「……それとさ、鈴原」
怜那「なに?」
龍崎「俺の勘違いだったらマジで恥ずかしいけど、俺のためにそんな格好、しなくていいから」
怜那「……え?」
【どういうこと?】
【龍崎くんのためってバレてたの?】
【しかも、しなくていいって……】
怜那「(似合ってない、のかな)」
急に表情が暗くなる怜那。
龍崎「鈴原! なんか変な誤解してるだろ」
怜那「誤解?」
龍崎「似合ってないとか、嬉しくなかったとかじゃないから。似合ったし、嬉しかったからな」
怜那を励ますためにとっさに本音を言ってしまい、赤くなる龍崎。
龍崎「俺はただ、無理して自分が好きでもない格好する必要はないって言いたいだけで……」
龍崎「その、本当にそういう格好も好きならいいんだけど」
過去に「王子って、好きでやってんの?」と言われたこと(第2話のシーン)を思い出す。
【龍崎くんって、いつもそうだ】
【見た目で私を決めないし、私の内面も決めつけない】
怜那「……正直、こういう系統の服が好きってわけじゃないよ」
【似合わないかも……なんて抜きにして、こういう格好はそんなに好みじゃない】
本当に好きな服(ユニセックスなデザインやカジュアルなもの)を思い浮かべる怜那。
【だけど、無理をしてこの服を着てるわけでもない】
怜那「でも今日はこれを着たいって、私が思ったんだ」
真剣な目で龍崎を見つめる。
【龍崎くんのためなら、私らしくなくて、好みじゃない服だって着てみたいと思えた】
【どんな反応をしてくれるんだろうって、すごくわくわくした】
龍崎「……なら、よかった」
龍崎が片手で顔を隠す。
怜那も恥ずかしくなり、お互いに無言でクレープを食べる。
クレープを食べ終わる。
龍崎「じゃあ、そろそろ行くか」
怜那「うん」
龍崎「ゴミ捨てに行こう。今度は一緒に」
二人で近くのごみ箱まで歩き、クレープのごみを捨てる。
いつの間にか夕暮れ時。
怜那「(結構長い間、龍崎くんと一緒にいたな)」
怜那「(今日、ずっと楽しかった)」
怜那「(龍崎くんも、そう思ってたらいいな)
龍崎「今日、マジで楽しかったよな」
しみじみと言う龍崎。怜那もそう思っているだろうと当たり前のように思っていそうな明るい表情。
怜那「うん、楽しかった」
龍崎「次は、ちょっと遠出とかしてもいいよな」
怜那「(次、あるんだ)」
怜那「だね。土日なら時間もあるし」
龍崎「鈴原も気になるところあったらLIMEででも送って」
怜那「うん。大盛りの店、探しとくね」
龍崎「別に大盛りじゃなくていいし、飯屋じゃなくてもいいから」
さらっと言う龍崎と、動揺してかたまる怜那。
そんな怜那を見て、堪えきれず龍崎も照れる。
龍崎「……なんていうかまあ、普通にまた出かけようぜって話」
【どうしよう】
【嬉しすぎて、にやけちゃいそう】
【気持ちが顔に出るな、なんて祈るのは初めてだ】
穏やかな空気のまま、駅へ向かって歩き出す二人。
莉沙「あれ? 翼くん?」
いきなり背後から莉沙(茶髪ゆるふわロング、美人なお姉さん系。龍崎の元カノ)に声をかけられる。
莉沙「やっぱり、翼くんだ!」
可愛らしく笑い、駆け寄ってくる莉沙。いい匂いがする。
莉沙「久しぶり! 転校しちゃってから全然会えないんだもん。元気にしてた?」
怜那に気づいた莉沙が、怜那にも笑顔を向ける。
怜那「(誰、この人……)」
慌てて龍崎の顔を見る。血の気が引いた、動揺しきった顔をしている。
龍崎「……莉沙、さん……」
莉沙「なあに、翼くん?」
【なに、その顔】
【私は、龍崎くんのこんな顔知らない】
苦しくなって、俯く怜那。
【こんな顔、私には見せてくれたことない】
