飴ちゃん食べる？～よろしく焼肉ホスト部♡

「……まぁまぁ、とりあえず焼けたから食べよ！　裕翔(ひろと)、割り箸と紙皿この子に渡して？」
「あぁ……」

　赤髪のイケメンが微笑みながら黒髪のイケメンにそう言うと、空気が柔らかくなって、ほっとする。

　私は黒髪のイケメンから割り箸と紙皿を受け取った。

「レディーは苦手な肉、ない？」
「はい、何でも食べれますけれど……」

　私がそう言うと、赤髪のイケメンはお皿に豚トロとカルビとホルモンを乗せてくれた。

「唯も網から肉とって早く食べな？　焦げちゃうよ」
「……」

　赤髪のイケメンの言うことを素直に聞いた天野スミス唯は、お皿の上に肉を乗せた。私は3人の様子を伺いながら静かに、もらった肉とお弁当を食べた。

「レディーは、何の肉が好きなの？」と、言いながら赤髪のイケメンが私の顔を覗き込んでくる。

「……豚トロですけど」
「そっか、じゃあ唯と一緒だ」

　天野スミス唯をチラ見すると、天野スミス唯がぷいっとしてきて、私はムッとなる。

「あぁ、そうそう。唯は女の子が苦手なんだ……だから冷たくされても気にすることないよ」と、赤髪のイケメンは私に耳打ちしてきた。

「冬弥、余計なこと言わんくてもええから」

　天野スミス唯は、箸とお皿を赤髪のイケメンに渡すと、どこかに行ってしまった。

「なんか、私のせいで空気悪くしてすいません……」

　謝ったタイミングで昼休みの終わりを告げるチャイムがなった。私は立ち上がる。

「気にしないでいいから、またおいで！」

　ひらひらと手を振る赤髪のイケメンと座りながら無言でこっちを見ている黒髪のイケメン。私はお辞儀をすると教室に戻った。