飴ちゃん食べる?~よろしく焼肉ホスト部♡

「迷子になったのか?」

 俺は何も答えられへんかった。

 その男は俺に、駅で売っていた棒のイチゴ味の飴を買ってくれた。女の子とふたりで飴を舐めていると、泣きそうな気分はいつの間にかなくなっていた。しかも話しやすい親子だったからたくさん話もした。

 親子と話をしていたのも多分、このベンチだった気がする。
 親子と話をしていると、俺を探していた冬弥たちと再会した。

「強くなれよ!」

 そう言い残し、その親子は去っていった。

「あの兄ちゃん、オーラ半端ないな」
「な、最高にかっこええ」
「あんな大人になりてぇ」

 冬弥と裕翔と俺は、その男の姿が見えなくなるまで目が離せなかった。

 今、その時に出会った記憶の中の女の子と、栗谷川の姿が重なった。

――あの時の親子は、俺たちが憧れている伝説のヤンキーと栗谷川だったんか?

「じっと見てきて、どうしたの?」
「いや、栗谷川、飴ちゃんがほんま似合うなおもて」
「天野も似合ってるよ!」
  
 飴ちゃん食べてる時の栗谷川、ほんまに可愛ええな――。

 俺らは、笑いあった。