飴ちゃん食べる?~よろしく焼肉ホスト部♡

 どこまで連れていかれるんだろう――。

 ずっと手を繋がれたまま。この手を離したくないなと、不思議な気持ちになりながら、ふたりは廊下を進んでいく。階段を上がり屋上のドアの前に来た。

「どうしてここに? たしか鍵かかってるよね?」

 天野スミス唯は何も答えずに、私の手を離し、ズボンのポケットから鍵を出す。そして屋上の鍵を開けた。

「中に入りな?」と中に招かれる。

 自宅のように普通にドアを開き屋上へと進んでいく。

「っていうか、なんでここの鍵持ってるの?」
「お気に入りの場所やから」
「もしかして、授業中教室にいない時って焼肉を食べているか、ここにいる感じ?」
「そうや。この場所のこと、誰にも言うなよ?」

――ふたりだけの秘密?

 勘違いかもしれないけれど、天野スミス唯の秘密を知れて、ちょっとだけ〝天野スミス唯の特別〟になれた気がして胸の奥がじんとした。