思いもかけない言葉に、わたしは思考が停止してしまった。
結婚?
これって、プロポーズ?
「え、、、でも、わたしたち付き合ってもいないですけど、、、。」
「はい。でも、、、ここ数ヵ月、しずくさんと一緒に過ごしてきて、思ったんです。交際期間は必要ないかなって。」
伊吹さんはそう言うと、優しく微笑み、「これからもずっと、しずくさんに俺の斜め後ろで珈琲を飲みながら、俺が絵を描く姿を見ていて欲しいんです。もう、しずくさんが居ないと集中出来なくなってしまっていて、、、。」と言った。
「本当にわたしでいいんですか?」
「しずくさんじゃないとダメなんです。しずくさんは、、、俺との結婚は、不安ですか?」
伊吹さんは不安そうにそう言ったが、わたしは首を横に振り、「いえ、不安はないです。」と答えた。
「わたしも、これからも伊吹さんの斜め後ろで珈琲を飲みながら、伊吹さんが絵を描く姿を見つめていたいです。」
わたしがそう言うと、伊吹さんはホッとしたように「良かった。」と呟き、それから、わたしを抱きしめた。
「ありがとうございます。幸せにします。」
「わたしはもう幸せですよ?」
わたしの言葉に伊吹さんは「可愛いこと言いますね。」と言うと、一度抱きしめる腕を緩め、わたしを見つめた。
「しずくさん、、、狼になってもいいですか?」
伊吹さんの言葉に恥ずかしくなり、照れ笑いをするわたし。
「伊吹さんも狼になることあるんですか?」
「当たり前じゃないですか。俺だって男ですよ?さっきは、さつきちゃんに邪魔されて、キスのお預け喰らいましたからね。」
伊吹さんは「いいですか?」と穏やかな声で再確認する。
わたしがその言葉に頷くと、伊吹さんはわたしの唇に唇を重ね、最初は短く、そして徐々に深く唇を重ねていった。



