わたしは伊吹さんが電話をしている間にガウンを着て、腰で紐を縛った。
伊吹さんはエレナさんとの電話が終わると、わたしのところに戻って来て、隣に座った。
「何とか大丈夫そうです。峯岸さんに発言したことを撤回しないと、名誉毀損で訴えると伝えたところ、あっさり彼女発言は嘘だったと記者に言ったみたいです。そしたら、今度はしずくさんとの熱愛報道に変わったみたいで。」
伊吹さんはそう言うと、不安そうに「俺との熱愛報道が出て、しずくさんは大丈夫ですか?」と言った。
「わたしは構いません。さっき言ったじゃないですか。わたしは、伊吹さんが好きだって。」
「良かった、、、。熱愛報道なら、俺がインタビューを受けても対応出来るので。でも、峯岸さんの嫉妬が心配なので、もう少しホテル滞在をするようにさつきちゃんに言われました。何をしてくるか分からないので。」
「分かりました。」
伊吹さんはわたしの手に手を重ねると、「しずくさんと2人きりになれる日が長引いて嬉しいです。」と言って微笑んだ。
そして、「ずっと同じ体勢で疲れましたよね。珈琲でも淹れましょうか。俺がやるので、しずくさんは休んでてくださいね。」と言うと、ベッドから立ち上がった。
「でも、伊吹さんも集中して絵を描いてたから、疲れてるんじゃないですか?」
「俺は全然。しずくさんの後ろ姿を見つめていられて幸せでしたよ?」
そう言うと、伊吹さんはケトルに水を入れながら笑って見せた。



