わたしは、わたしを抱きしめる伊吹さんの腕に手を添えると、顔だけを伊吹さんの方に向けた。
「伊吹さん。」
「はい。」
「わたしも、伊吹さんが好きです。」
わたしがそう言うと、伊吹さんは恥ずかしそうに微笑み、「このタイミングでそれを言うのはズルいですよ。」と言った。
「今、言いたくなったんです。」
「ありがとうございます。嬉しいです。前にも伝えましたが、俺もしずくさんが好きです。」
伊吹さんの言葉にわたしは微笑み、伊吹さんも再び微笑んだ。
そして、わたしたちは見つめ合う。
すると、伊吹さんの唇がわたしの唇に重なろうとした。
その瞬間、伊吹さんのスマホが振動し始めた。
わたしたちは一瞬にしてハッとして、伊吹さんは溜め息をつくと、「タイミング悪いなぁ。」と苦笑いをする。
伊吹さんはわたしの頭にキスをすると、わたしを抱きしめる手を離し、スマホを取りに行った。
「あ、さつきちゃんだ。」
スマホの着信を見てそう言うと、伊吹さんは電話に出ていた。
どうやら、今回の週刊誌の件についての電話らしいかった。



