わたしはシャワーを浴びると、ドライヤーで髪を乾かし、下着は着けずガウンだけを着てバスルームから出た。
すると、そこには既に絵を描く準備を整えた伊吹さんが椅子に座って待っていて、わたしたちは目が合うと、お互いに照れ笑いを浮かべた。
カーテンが閉められ、温かな光だけが部屋を照らす。
わたしは伊吹さんに歩み寄ると、「わたしは、どうしたらいいですか?」と訊いた。
「えっと、じゃあ、、、俺が使ってるベッドの上に、背中をこちらに向けて座っていただいてもいいですか?」
わたしは「わかりました。」と返事をすると、伊吹さんが使っている方のベッドの上に上がり、伊吹さんに背を向けるように座った。
そして、ガウンの紐を解くと、ガウンを脱ぎ、自分のベッドの方にガウンを投げた。
「そしたら、体育座りをする感じで足はクロスしてください。左手は右肩に添えて、右手は左の脇腹あたりに。」
わたしは伊吹さんに言われた通りに座り、手の位置もその通りにした。
「あ、伊吹さん。」
「はい。」
「左手のサポーターは、どうしましょうか?外した方がいいですか?」
わたしがそう訊くと、伊吹さんは「そこはしずくさんにお任せしますが、ずっとしずくさんを支えてきたものですから、サポーターもしずくさんの一部だと俺は思いますよ。」と言ってくれた。
「それじゃあ、つけたままで。」
「分かりました。」
伊吹さんはそう言うと、最後に「じゃあ、顔は右向きで。顎を引いて、視線は下の方にお願いします。」と言った。
そして、伊吹さんはわたしに歩み寄って来ると、「ちょっと失礼しますね。」と言い、わたしの右側に下がる髪の毛を耳にかけた。
それから一歩ずつ後ろに下がると、「オッケーです。じゃあ、そのままでお願いします。」と言い、椅子に腰を下ろすと、デッサン用の鉛筆を手に取った。



