その日の夜は、意外とわたしは眠ることが出来た。
隣に伊吹さんが居て、緊張して眠れないんじゃないかと思ったが、すんなり眠りにつくことが出来て、自分でも驚いた。
一方、伊吹さんの方はあまり眠れなかったらしい。
「隣にしずくさんが居ると思うと、ドキドキしてしまって。」
そう言いながら、伊吹さんは笑っていた。
「そういえば、エレナさん大丈夫ですかね。記者への対応、大変そうですよね。」
わたしがそう言うと、伊吹さんは「さつきちゃんは、あぁ見えて仕事が出来る人なんで大丈夫だと思います。彼女には、和総もついてますからね。」と言い、信頼関係が築けているんだなぁということを感じさせられた。
そして、「また葡萄ジュース送らなきゃなぁ。」と呟いていた。
ホテルに滞在して3日目。
伊吹さんは、昼食にホテルで注文したパスタをフォークでクルクル回しながら、「しずくさん。」とわたしを呼んだ。
「はい。」
「あのぉ、、、しずくさんを描かせていただく、あの件なんですが、、、。」
「あ、はい。」
「今日、、、どうですか?」
伊吹さんは控えめにそう言うと、フォークでパスタをクルクルする手を止めた。
わたしは一瞬ドキッとしたが、覚悟を決め「いいですよ。」と返事をした。
「じゃあ、昼食が終わって落ち着いてから、準備を始めましょうか。」
「分かりました。」
わたしたちはお互いにいつもとは違う雰囲気を感じながら、昼食を済ませた。



