とりあえず、部屋に入り落ち着いたわたしたちは、お金持ち気分になれるような椅子に腰をおろし、一息ついた。
「しずくさん、本当にすいません。こんなことに巻き込んでしまって、、、。」
「いえ、気にしないでください。」
「でも、、、。」
「伊吹さんの知名度が高くなってきてるってことじゃないですか。凄いことですよ。」
わたしがそう言うと、伊吹さんは落ち込みを隠すように微笑んで見せた。
「あ、珈琲淹れましょうか。」
わたしがそう言い、立ち上がると、伊吹さんは「俺が淹れますよ。」と言った。
「いえ、伊吹さんは休んでいてください。わたしが淹れますから。」
「ありがとうございます。」
わたしは、少しでも伊吹さんに元気を出してもらいたくて、出来るだけ明るく振る舞った。
伊吹さんは、わたしを巻き込んでしまったと言ったが、わたし自身は巻き込まれたとは微塵も思っていなかった。
大変な思いをしているのは伊吹さんだ。
峯岸さんに嘘の情報を流され、わたしへの罪悪感でいっぱいだろう。
わたしは珈琲を淹れると、「どうぞ。」と伊吹さんの目の前にあるテーブルに珈琲が入ったカップを置いた。
「ありがとうございます。」
「いいえ。そういえば、気付けばいつの間にか21時を過ぎていたんですね。今日は、珈琲を飲んでシャワーを浴びたら寝ましょうか。」
「そうですね。」
わたしは珈琲を飲むと、広過ぎる部屋を見渡し、今日からしばらくこの部屋で伊吹さんと過ごすのかぁ、とまだ現実味のない不思議な気持ちになっていた。



