「やっぱり、、、しずくさんのことが好きだと言っておきながら、最低ですよね、、、。本当に申し訳ありません、、、。」
伊吹さんはそう言うと、深く頭を下げた。
わたしは「伊吹さん、頭を上げてください。峯岸さんの一方的な気持ちだってことは分かってますから。」と慌てて言った。
伊吹さんはゆっくり頭を上げると、「だとしても、、、。」とどうにか回避することが出来たのではないかと悔いて、自分を責めていた。
「伊吹さんが誠実な方だということは、出会ってからまだそれほど長くはありませんが、充分に伝わっています。それから、猫舌で人参が苦手だってことも。」
わたしがそう言うと、伊吹さんは照れくさそうに笑い、「しずくさんには、救われてばかりだなぁ。」と呟くように言った。
「何言ってるんですか?救われてばかりいるのは、わたしの方です。伊吹さんには、ずっと恩返しがしたいって考えてるんですけど、何をしたら伊吹さんが喜んでくれるのか思い浮かばなくて、、、。」
「そんなこと考えてくれてたんですか?俺は、今のままで充分ですよ。」
「いえ、何かしないとわたしの気が済まないんです。伊吹さんにとって、わたしは何をすれば恩返しになりますか?」
わたしがそう訊くと、伊吹さんは「恩返し、、、。」と呟き、少し考えたあと、「何でもいいんですか?」と言った。
「はい、わたしが出来ることなら何でも。」
「じゃあ、、、しずくさんの絵を描かせていただけませんか?」
伊吹さんの予想外の言葉に「わたしの、絵ですか?」と驚くわたし。
「はい、しずくさんが嫌じゃなければ、描かせていただきたいです。」
「わたしに、、、モデルが務まるでしょうか、、、。」
「しずくさんは、自分が思っているよりも素敵で美しい女性ですよ?」
わたしは少し悩んだあと、「分かりました。」と返事をし、そのあと「でも、1つわたしからもお願いがあるんですけど、いいですか?」と訊いた。
「はい、何ですか?」
「もしわたしを描くなら、、、ありのままのわたしを描いて欲しいです。」
「ありのまま、というと、、、え?」
伊吹さんは目を見開いて驚いた表情をし、「それって、、、。」と呟いた。
「何も纏っていない、ありのままのわたしを描いていただきたいです。伊吹さんに。」



