そして、その週末。
普段なら毎週、お昼頃から伊吹さんのアトリエにお邪魔をし、珈琲を淹れて、珈琲を飲みながら自分の定位置に座り、伊吹さんの絵を描く姿を眺めているところだが、今日のわたしは自宅の布団の中から出ることが出来ずにいた。
伊吹さんは、今日もアトリエで絵を描いているのかな。
こないだ持って行った珈琲、飲んでくれたかな。
考えることは伊吹さんのことばかりで、布団に潜りながらそんなことばかりを考えているとウトウトしてきてしまい、わたしはいつの間にか眠ってしまっていた。
それから目が覚めたのは、枕元に置いてあったスマホの振動がきっかけだった。
寝ぼけ眼でスマホを手に取り時刻を確認すると、いつの間にか16時になる一歩手前だった。
そして、LINEの新着が1件。
LINEの相手は、伊吹さんだった。
{ こんにちは。こないだ、アトリエのドアノブに袋をかけてくれたのしずくさんですよね?ありがとうございます。)
{ もしよろしければ、これからアトリエに来て一緒に珈琲飲みませんか?)
{ しずくさんにお話したいこともあるので。)
伊吹さんからのLINE。
嬉しかった。
きっとわたしが伊吹さんを避けてしまっていたことに、伊吹さんは気付いていたはず。
それなのに、こうして連絡をくれた。
わたしは「こんにちは。わかりました、じゃあこれからお邪魔しますね。」と返信すると、急いで着替え、簡単に化粧を済ませると、伊吹さんのアトリエへと向かった。



