「伊吹先生!勝手な行動は控えてください!」
ここが美術展であることを忘れているかのように、感情のままに怒りを表す峯岸さん。
伊吹さんは、「今日は仕事ではないので、峯岸さんは来なくて大丈夫ですって伝えたはずですよ。」と呆れながらも落ち着いた様子で言った。
「でも、わたしは伊吹先生のマネージャーです!マネージャーとして田尻先生にご挨拶をする義務があります!」
「はぁ、、、。」
「それから、なぜその人が居るんですか?」
峯岸さんはそう言いながら、わたしを睨み付けた。
「俺が一緒に行きませんか?と誘ったんです。しずくさんは絵が好きな方ですから。田尻先生にも、ちゃんと許可はいただいています。」
伊吹さんの言葉に峯岸さんは更に眉間にシワを寄せ、「とにかく、今日は最後までわたしも付き添いますから。」と言った。
すると、伊吹さんはわたしの耳元に顔を寄せると、小声で「あれが女の顔なんですか?俺には、鬼の顔にしか見えないですけど。」と言った。
伊吹さんの言葉にわたしがクスッと笑うと、峯岸さんは伊吹さんとわたしの間に割って入って来て、「伊吹先生、ほら、田尻先生にご挨拶に行きますよ。」と伊吹さんの腕を引いて行ってしまった。
伊吹さんは「すぐ戻るので、田尻先生の作品を見ててください!」と言った。
わたしは頷くと、田尻先生の作品を1人で見て回った。
やはり、この女性の絵がわたしは一番好きだ。
後ろ髪を上げる、裸の女性。
わたしも、、、描いてもらいたいなぁ。
田尻先生じゃなくて、伊吹さんに。



