「あ、そうだ。しずくさんにずっと言おうと思って言い忘れてたんですけど、来週の日曜日って予定ありますか?」
安堵の表情からハッとした表情に切り替わり、伊吹さんは言った。
「来週の日曜日ですか?特に何もないですよ。」
「もしよかったら、一緒に美術展に行きませんか?知り合いの画家で田尻先生って居るんですけど、田尻先生の美術展に招待されてるんですよ。」
「わたしも一緒に行っちゃっていいんですか?」
「大丈夫です。許可はいただいてるので。」
伊吹さんはそう言うと、親指を立てて微笑んだ。
伊吹さんと一緒に美術展かぁ、、、行きたいなぁ。
でも、わたしには一つ心配事があった。
「でも、、、峯岸さんが、、、。」
わたしがそう言うと、伊吹さんは「あ、峯岸さんは来ないので大丈夫です!これは仕事ではないので、ついて来なくていいって言ってあるので!」と言った。
「それなら、、、一緒に行ってもいいですか?」
「もちろん!」
こうして、わたしは伊吹さんの知り合いの画家、田尻先生の美術展に伊吹さんと一緒に行くことになった。
伊吹さんはそれからわたしが淹れた冷めた珈琲を飲むと、「さぁ、仕上げちゃうか!」と気合を入れ、今描いている途中の絵の仕上げに入った。
わたしは自分の定位置になりつつある、伊吹さんの左斜め後ろから伊吹さんの絵を描く姿を見つめ、くすぶる自分の気持ちを感じて取っていた。
わたしは、伊吹さんのことが好きだ。



