「あ、お弁当2つもらって来ましたよ!」
伊吹さんはそう言うと、お弁当が入った紙袋を持ち上げて見せた。
「このお弁当美味しいんですよ。だから、是非しずくさんにも食べてもらいたくて。」
伊吹さんはそう言いながら、紙袋からお弁当を取り出すと、「あ、そういえばテーブルない。」と言った。
「大丈夫ですよ。手に持って食べれますから。」
わたしがそう言うと、伊吹さんは「でも、左手大丈夫ですか?」とわたしがサポーターをしている左手を気に掛けてくれた。
「曲がらない分、握力は弱いですが、全く使えないわけじゃないので大丈夫ですよ。」
「あー、もっと早く気付けば良かったなぁ。近いうちにテーブル用意しときますね。」
伊吹さんはそう言うと、わたしにお弁当を差し出してくれた。
「ありがとうございます。」
わたしはお弁当を受け取ると、窓際ある木製の長椅子に腰を掛けた。
伊吹さんはわたしが淹れた珈琲を一口飲むと、「うん!丁度いい!」と言って親指を立てると、マグカップをテーブル代わりの丸椅子に置いた。
「じゃあ、しずくさんの珈琲は俺が淹れますね。ミルクだけで良いんでしたよね?」
「はい、ありがとうございます。」
伊吹さんは、わたしにミルク入りの熱い珈琲を淹れてくれ、それから2人で「いただきます。」と手を合わせると、お弁当の蓋を開けた。



