そっと、ぎゅっと抱きしめて


「はぁ、、、。」

わたしには、もう家族は居なくなった。
いや、ずっと前から居なかったのかもしれない。

わたしはソファーに腰を下ろすと、母と妹のLINEをブロックした。

「さよなら。」

そう呟きながら、あの家族から解放されてホッとする気持ちと共に、孤独を感じた。

何だろう、この孤独感。
あの人たちから解放されて、嬉しいはずなのに。

すると、スマホが震え、誰かからLINEがきた。

LINEの相手は、伊吹さんだった。

{ やっと取材が終わったので、これから帰ります!)
{ もう夕飯って済ませちゃいましたか?お弁当もらったので一緒に食べません?)

伊吹さんからのLINEに孤独感が和らぐ。

わたしは、「取材お疲れ様です。夕飯はまだですよ。」と返信した。

{ 良かった!じゃあ、アトリエで待っててもらえませんか?)

アトリエ、、、

わたしはソファーから立ち上がると、テーブルの上に置いておいたアトリエの鍵を手に取った。

伊吹さんにとって大事なアトリエの鍵。
わたしはアトリエの鍵を握りしめると、ニットのカーディガンを羽織り、スマホを持って伊吹さんのアトリエへと向かった。