それからお昼頃になると、やっと起きてきてわたしが居ないことに気付いた母から山程のLINEが届いた。
しかし、わたしは既読をつけることもなく、母からのLINEを無視し続け、片付けを進めていった。
すると、夕方頃に父から電話がかかってきた。
母からわたしが居ないと連絡がいったのだろう。
わたしは仕方なく、父からの電話には出ることにした。
「はい、もしもし。」
「あ、しずくか?」
久しぶりに聞く父の声。
父と電話をするのなんて、何年ぶりだろう。
「母さんから連絡がきて、しずくが居ないって。心配してたぞ。」
「心配?わたしが居ないと家事をする人が居なくて困る、の間違いじゃない?」
「そんなことないよ。」
「よく言うよ。わたしが家でこき使われたの知ってたくせに。」
わたしがそう言うと、父は黙り込んだ。
「お父さん知ってる?わたしがこないだ、電車に飛び込もうとしたって。もう今の暮らしが嫌になって。でも、助けてくれた人がいた。その人のおかげでわたしは電車の下敷きになってバラバラにならずに済んで、今生きてる。あの家に、わたしの味方はいない。だから、もう帰ることはない。」
わたしの言葉に父は、呟くような小さな声で「悪かった、、、しずくには、ツライ思いばかりさせてきたな。」と言った。
「今更謝られても、もう遅いよ。お母さんには、もう帰らないって伝えといて。まぁ、あの人をお母さんと思ったことはないけど、、、わたしはもう居なくなったと思って?」
黙り込む頼りない父。
ずっと家族の問題から逃げてきたんだから、何も言えることがないのだろう。
わたしは「じゃあ、元気でね。」と言うと、父からの電話を切った。



