スノードロップ


狼狽えている姿は実に滑稽で、見ている分にはとても面白いけれど。



どうして私を見つめてくるの?

そんな縋るように見つめられても何も無くてよ?

残念だけど、折角帰れるところを邪魔されて苛立ってるの、私。




「断りましたよね?」




私はさっさと家に帰りたいの。

やっと理紗の気まぐれが終わったところだったのよ?

先輩達は邪魔しかしてこなかったんだから、私が助けるわけ無いでしょう。

どういう神経してるの?

軽く男達を睨みつけると、真っ青なかおになって逃げて行く。


……根性無しの癖に逃げ足だけは速いのね。

それにしても彼らはいったい何がしたかったのかしら。




「お嬢さん達〜。あ〜ゆ〜のは逃げなきゃ駄目だろ?喰われちまうよ?」




ゆらゆらゆらゆら。

不思議な雰囲気で藤髪先輩は笑う。




「……それは大変ですね」




先輩のお陰で助かりましたけど。

それにしてもこの方々は何者でしょうか?

見れば見るほど色物集団ですね。


もう全員でホストクラブでも開けばいいのに、というレベルです。

きっと繁盛すると思いますよ。




「……おい、お前」




あら、今度は黒髪さん。

今日は変な人達に絡まれますね。

……厄日かしら?

お祓いが必要?

帰ったら塩撒いて置きましょう。



切れ長の瞳にサラサラの黒髪。

まるでお人形のように整った顔立ちの男子生徒。

5人の中では一番存在感があるというか、貫禄があるというか……。

まあ、取り敢えずとても目立っているわ。


お前って、私のこと?

……私の…こと…よね?

……何だかめちゃくちゃ見られてるし…。