スノードロップ


ヘラヘラ笑いながら勝手に腕を掴んでくる男達。




「いいから♪いいから〜」
 



人の話は聞いていないのだろうか。

笑顔でグイグイと腕を引かれる。

正直、地味に腕が痛いから辞めて欲しい。

男達が無理矢理どこかへと連れて行こうとしてくる。


暢気(のんき)に何処へ行くのかしら?なんて、考えていたら大変なことになりそう。




「りーちゃん、大丈夫そ?」




同じように腕を引かれる理紗を見る。

理紗はといえば、腕を引かれながらも余裕そうだ。




「うん♪」




あらまあ、全然大丈夫そう。


意外と慣れているものね。

こんなふうに絡まれるの。





「……離してくださいませんか?痛い目みますよ?」




貴方方が。

私的にはとても親切で優しい忠告だったというのに。

男達は顔を見合わせて、馬鹿にしたようにケラケラと笑い出す。

………仕方が無いわね。



スッと姿勢を正した時。




「ん〜?なぁにやってんだぁ、お前ら?」




のんびりとした緊張感の無い声音に呼び止められた。

振り返れば整った容姿の男子生徒が5人。

声を掛けてきたのは煙草を咥えた、藤色の髪の毛をハーフアップにした男子生徒。


………未成年の喫煙は法律違反よ。




「…ナンパ、ねぇ?」




スゥッと瞳が細められ声が一段低くなる。

ビクリと男達が肩を震わせた。

ただでさえ美形なので、途轍もなく怖い。




「……い…いえ…その……学校内を案内しようかと……」




柄の悪い先輩達が敬語に(笑)。

顔色も悪いし。

弁明がしどろもどろですよ?


こういう人達って、立場が悪くなると目に見えて狼狽えだすわよね。