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❄️礼奈❄️
桜の花びらが散り落ち、若葉が芽吹き始める頃。
新しい学校に入学した。
長ったらしい来賓や校長の挨拶を聞くもと無しに、聞き流していれば入学式は終わった。
入学式自体は午前中に終了するのに、生徒会役員選挙というものが午後から行われるとかで、私は仕方無しに親友と教室で昼食をとっている。
正直に私の気持ちを言ってもいいのならば。
どうでもいいから、帰りたい。
それだけである。
生徒会役員選挙の参加資格は男子生徒のみ。
全学年強制参加。
投票者は女子生徒。
そのルールの為か、全学年役員は毎年顔立ちの整った人物が当選するのだとか。
そんな適当な人選で生徒会役員など務まるのかは不思議だが。
これまで大した問題が起こらなかったからこそ、この学校独自のルールが根付いているのだろう。
更に生徒会役員になると授業免除の特典が与えられる。
授業免除の特典とは、テストで赤点さえ取らなければ授業に出なくても良いというもの。
女子生徒が生徒会役員になるには、副会長になるしか無い。
ただし、副会長になるには、生徒会長の指名が必要となる。
簡単に言うならば、副会長を決める権利を持つのが生徒会長のみということ。
別に生徒会長が指名すれば、男女関係無く副会長になれるらしいが、恋人と同じ空間に居たいと願う歴代の生徒会長が多かった為、副会長=生徒会長の恋人という方程式が当たり前に生徒間で浸透して現在に至る。
授業免除の特典は魅力的だけど、わざわざ敵を作ってまで生徒会役員になりたいとは思わない。
