スノードロップ


こてっと首を傾げて礼奈ちゃんが俺を見上げる。




「散歩だよ。今は家に居れないからね」




「……そうですか」




質問してきた割に興味無さげな返事。



どうやら俺と話すことに飽きたらしく、止めていた足を進め始める。


このまま見送るわけにもいかないので、勝手について行く事に決める。


礼奈ちゃんはついて行く俺をちらりと見たけれど、何も言わずに歩く。




ごちゃごちゃとお店が建ち並ぶ通りを抜け、暫く歩くと周りの景色は住宅街へと変わる。

その中を礼奈ちゃんはただ前だけを見て歩いて行く。


礼奈ちゃんが足を止めたのは立派な外観の一軒家。


まあ、この辺りって高級住宅街が建ち並ぶ地区だから、立派なのは当たり前なのかな……。



……随分と豪華な家に住んでるんだね。


口にも表情にも出さなかったけれど、かなり驚いた。




さて、礼奈ちゃんも送り届けたから、帰ろうかなと思った時。





「…………先輩」




ぽつりと俺の耳に届くか届かないかくらいの声量で。

礼奈ちゃんが俺を呼ぶ。


俺が気づかなければ、礼奈ちゃんは何事も無かったように家の中へと姿を消す事だろう。




「ん?」




「……寄って行きますか?」





…!?

表情を変えること無く予想外の事を口にして、玄関に手を掛ける礼奈ちゃん。


まさか礼奈ちゃんの口からそんな言葉が出てくるとは思わなくて、彼女の顔を凝視してしまう。




「………いいの?」





驚いて聞き返してしまった俺に、「行く場所が無いのでしょう?」と、予想の斜め上を行く返答。


……ああ、うん。


もしかして、礼奈ちゃんって捨て猫とか拾っちゃうタイプ?