🌿秀一🌿
それは偶然だった。
夜の街中を目的も無しにただブラブラと歩く。
道路は明るく人通りもそこそこ多い。
夜の店が多く建ち並ぶ通り。
そんな通りを目的もなくぼんやりと歩いていれば、ふわりと視界の隅を薫るような銀髪が踊る。
まるで引き寄せられるようにその髪の毛を追えば。
思った通りの人物が前だけを見て歩いていた。
こんな時間にこんな場所で、会うとは思わなかった。
彼女は俺に気づくこと無く歩き続ける。
まるで周りに人が居ないかのように、口元に笑みを浮かべたまま。
「……礼奈ちゃん?」
足早に近づいて声を掛ける。
ビクリと肩を揺らして彼女が振り返る。
驚いたように見開かれた瞳が俺を捉えて。
俺を認識した瞬間、いつも通りの笑みを浮かべて、「……先輩か」と、興味無さげに呟いた。
「…1人は危ないよ?」
にこりと微笑んで礼奈ちゃんを見つめる。
礼奈ちゃんはふっと笑みを深めて。
「大丈夫ですよ」
と、のんびりとした口調で呟く。
俺の質問に答えたと言うよりは、呟くといった表現が合う。
ふわふわとした声。
それにしても大丈夫という根拠は何処から来るのだろうか。
絶対に危ない。
「……うん。でも、今10時過ぎてるからね?」
普通に危ないから。
そもそもどうして1人で歩いてるの?
この通り変な勧誘とか多いじゃん。
勿論、礼奈ちゃんが俺達と関わりたくないのは理解しているけど。
見つけちゃったら声掛けるでしょ。
普通に15歳の女子高生が1人で出歩いて良い時間じゃないからね。
「……先輩は何してたんですか?」
