先に言っておくけれど、私はこれが通常運転よ。
これくらいの出来事は受け流せなきゃ、これから大変よ?
「…で、他の方のお名前は?」
「うぇ!?僕のことは放置なの!?」
……え?
他に何か言う事あったかしら?
別に天里君が同じクラスだろうが、他学年だろうが、興味ありませんよ。
「ああ、そうだね。俺は宮元秀一。高2。よろしくね、礼奈ちゃん?」
柔和に微笑する茶髪の大人しめな真面目そうな先輩。
髪の毛は落ち着いた茶色に染められてはいるものの、紫やピンクよりは目立たない。
……笑顔が怖いけど。
だって、瞳の奥が笑ってなさ過ぎだよ、この人。
……怖いわ〜。
「俺は一ノ瀬竜。高2」
宮元先輩の横から無愛想な金髪の先輩が言う。
やる気無さそうに一瞬だけ私を視界に収めて、すぐに視線を逸らす。
見るからに不良。
金色の髪の毛は短く切り揃えられ、耳にピアスが両耳で計7つ。
右に3つに左に4つ。
首からチェーンのネックレス。
「如月桐斗。高2。これから楽しみだな、礼奈?」
最後に黒髪先輩。
整った容姿のスラッと高い身長。
非の打ち所の無い絵に描いたような完璧な男。
「北見礼奈です」
よろしくするつもりは無いから言わない。
「紅矢理紗です♪困ったことがあれば、聞いてください♪」
にこにこにこにこ。
楽しそうね、理紗?
他人事だと思って……。
「帰るわよ、理紗」
「はぁい♪」
「……また、明日」
ぺこりと頭を下げて昇降口へと歩き出す。
