「やりませんけど?」
何を言ってるのこの男は。
やるわけ無いでしょう。
面倒臭いことは嫌いなのよ。
「……ねぇ?…やりなよ、副会長♪」
にやにやと笑いながら、理紗が参戦して来た。
……これは…確実に面白がってる。
「嫌よ?理紗がなったら?」
「はぁ!?嫌だよ!私は逆ハー展開の生徒会を主人公の親友ポジという最高のポジションで観戦したいの!!?」
ああ、そういえばこの子も馬鹿だった……。
変なところに食いついてるし…。
……ん〜…でも、理紗の妄想の糧にはなりたく無いなぁ。
メリットっていえば授業免除の特典、よね?
………。
「ん〜?あれぇ?礼奈ちゃん?随分と悪い顔してるよ〜?」
「ちょっと、利益計算してるんだから待ちなさい?」
確かに黒髪先輩の恋人になるよりは、利益はある。
授業に出なくて良いのなら、その分別のことに当てられる。
自由時間が増えるのは助かるわ。
ただ、女子生徒からの恨みは買うでしょうけど……。
それと引き換えに手に入るのが、授業免除の特典なら。
ゆっくりと口角を上げる。
理紗には良くこの表情が怖いと言われるけれど。
その表情を意図して作り上げる私は、変わり者だろう。
「…分かりました。貴方が生徒会長になった時は、副会長というお役目引き受けさせて頂きますわ」
にこりと笑みを深める。
私の言葉を聞いた理紗がケラケラと楽しそうに笑い出す。
結果として、理紗の思い通りになってしまったけれど。
「…ところで、貴方方お名前は?」
お互いに名前さえ知らずに。
