【番外編】冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる

【黎明】が【堕天】を下してから数ヶ月が経った。

秋はとうに終わり、僅かばかりの寒さを残した春が街を彩っている。

単位のために必要な最低限の書類を理事長室に届けに行った帰り。階段の踊り場付近で荒れた構成員らの嘆きが耳に入ってきた。


「あ〜まじで姫欲し〜。愛でてぇし尽くされて〜〜!!!」

「まじそれ」


またそれか。


最近構成員らが姫を求めていると、冴妃や浬から報告を受けていた。

試しに実際にどんなことを言っているのか聞いてみようと、壁にもたれかかって聞き耳を立てる。

その次の瞬間、地雷を踏み抜かれた。


「つか姫なら冴妃さんで良くね?紅一点だし」


──は?


「言えてる」

「でもあの人が俺らに尽くしてくれんの?」

「ないな。でも下衆を見るような目で嫌々慰められたら惚れる」

「お前相変わらずドMだよな」

「────おい」