ぼさぼさな髪を結んで、薄いメイクを施して、私は新しい制服に身を包んだ。 誰もいない家に「行ってきます。」だけを残してドアを閉めた。 いつも通りの景色がいつも通りではなく感じる。 期待を胸に、私は高校へ向かう。 「楽しみだなぁ〜。友達出来るかな。」 ひとりでにぽつり、と呟く。 誰も聞いていないと思っていたため、私は深い溜め息をついた。 ———あの二人がいる事なんて、知るよしもなく。