すべてを捨てて、君を迎えに行く




「お父、さん…?」


テーブルの片側にはその場に不似合いなダボダボの安っぽいスーツを纏いゲッソリと痩せた父。

そしてその対面して座るのは、かつて深く交流をしていた皇家の面々ーーそしてテーブルの向こうの上座に座るのは、京弥だった。


京弥の両親の他二人の兄も加わり、錚々たる顔ぶれが揃った重圧感漂う空気に星來はゴクリ生唾を呑んだ。


そんな唯ならぬ雰囲気に気圧される星來にゆっくりと近づいてきて、京弥は手を差し出してきた。

以前よりさらに洗練された空気を纏う彼に胸が高鳴るのを隠しつつ恐る恐る手を取ると、そのまま優しく手を引かれ流れるように彼の隣に座らされた。



訳もわからぬまま体を硬くしていると、隣の京弥が二つの書類を取り出してテーブルに置いた。
そして高らかに宣言をした。


「今日をもって、俺は皇の籍を抜ける」
「?!」