本当は今日、母に会ったら早見の事を話すつもりだった。
けれど結局は話せなかった。
チャンスはいくらでもあったのに、とうとう言えなかった。
一体どうしたら…と悶々と悩みながらも、慣れた足取りは星來を目的地まで連れてきていた。
今日は丁度借金の引き落とし日で、毎月のルーティンで星來は銀行へと足を運んで記帳をするのが恒例となっている。
払った金額はそれだけ借金が減っている証拠になる。
翌月のモチベーションの為にも星來には月に一度、記帳をするのが恒例となっている。
だがいざ記帳してみても何故か金の移動が無く、給料がそのまま残っていた。
「ど、どう言う事…!?」
カレンダーを何度見ても、指定された返済の日程とスマホに表示された日付は一致している。
間違いはないはずだ。
そうパニックになりながら債権元へ問い合わせれば、既に完済されていると言われた。
「そ、そんなはずありません!だってまだあんなに…!」
『これ以上こちらからお話することは出来かねますので』
失礼します。
と色のない声で冷たく言われて切られた。
「何がどうなってるの…?」



