すべてを捨てて、君を迎えに行く




当然の話だ。

皇グループほどの家格の家の御曹司が一度婚約破棄になったところで何の痛手でもない。

また新たな婚約者候補が次々と名乗りを上げただろうからそこから選べば良いだけの話だ。


上の兄二人は既に結婚して子供もいる。
となれば、名家の令嬢達は最後の砦と言わんばかりに唯一の独身の京弥にこぞって押しかけるのは火を見るより明らかだ。


そこに驚きは無い。

問題なのは星來自身。



ショックを受けている自分に驚いていた。




素の笑顔が良いと言われたあの日から、気持ちに変化が生まれていたのは薄々気付いていた。
伊達に疑似恋愛を続けてきたわけじゃ無い。


その手の話とあらばそこら辺の女より機敏に反応できる自負はある。


それを鈍くさせていたのは、負い目だ。

自分などが京弥に想いを寄せるなんて身分違いも甚だしい。
何より自分は一度強烈に振られている。