「それやめろ。キモい」
「一応これでお金頂いてるんだけどねえ」
のんびりとそう言いながら、星來はタブレットで気になったものを次々と注文していく。
ひと通り注文し終えた後、星來はテーブルに肘をつきながら言った。
「京弥くんは変わってないね。相変わらず口が悪い。テレビでは猫被ってるでしょ」
「人気商売なんだから当然だろ」
「黙ってたらかっこいいのにね。…あ、あの人気アナウンサーとの熱愛報道は本当?」
「ジジツムコンデス」
どうせ知ってんだろ、と言われたが勿論知っている。彼自身が公文を出していたから。
「それでどんな気分だった?元婚約者がホステスなんかやってて」
挑発するように聞けば、少し吊り目気味の京弥の目が完全に吊り上がった。
「…は?」
「潔癖な君の事だもん。さぞ気持ちが悪かっただろうね」
高校生までの彼なら知っている。
他の同級生が色恋に目覚め始めた時も、興味の欠片も示さずに自分磨きに邁進していた。
だからだろうか、大した能力も持たず何の努力もしていない星來から好意を持たれていることを酷く嫌悪していた。
過去を否定したくは無いが、昔の自分は甘ちゃんだったと思う。
けれどそれにしたって酷い言い方だったから、今こうして仕返しをしているのだ。



