閉店後
裕翔を待つ木葉。
駆け寄る裕翔。
裕翔「ごめん」
「待たせた」
木葉「いえ」
「それよりこれ」
「ありがとうございました」
木葉、裕翔にカーディガンの入った袋を渡す。
裕翔「クリーニング」
「そのままでよかったのに」
木葉、笑顔に留める。
裕翔「ありがとう」
木葉「いえ」
「ではこれで」
「お先に失礼します」
頭を下げて帰ろうとする木葉。
裕翔、止める。
裕翔「せっかくだから一緒に帰ろう」
木葉「あ、はい」
並んで歩く木葉。
木葉、なんだか緊張して言葉が出ない。
裕翔、立ち止まり。
裕翔「ん」
手を広げる裕翔。
首を傾げる木葉。
裕翔「ハグ」
「しようか?」
木葉「はぐ…」
「ハグ!それは結構です」
「でもなんでですか?」
拒否する木葉。
今度は裕翔が首を傾げて。
裕翔「落ち込んでいるかと思って」
木葉「何にですか?」
裕翔、広げていた手を戻してから。
裕翔「ソフトクリーム」
木葉「あぁ!」
「あれは難しいですね」
「なにかコツがあるのでしょうか?」
「木崎さんの手元をその後もよく見ていたのですが掴めなくて」
「だから今度、図書館に行ってソフトクリームの機械の原理から勉強しようと思っているんですが」
「物理も必要かな?」
「でも物理学はちょうど勉強するつもりだったので一石二鳥なんですよ」
木葉の澱みなく出てくる言葉を聞いて裕翔、吹き出す。
裕翔「機械の原理って」
「予想外の答えだよ」
「ハハハ」
笑い過ぎて溢れた涙を拭う裕翔。
裕翔「はぁ、苦し」
「ていうか内野さんにハグの提案は必要なかったな」
木葉「はい」
「でも」
木葉、裕翔を見上げて。
木葉「ご厚意感謝します」
「嬉しかったです」
裕翔、木葉の笑顔を前にドキッとする。
裕翔(この子の笑顔)
(見ると落ち着かなくなる)
(ひとりじめしたくなる)
(言動がツボだと思っていた)
(アイツと重ねた部分もある)
(けどこれは違う)
(それだけじゃない)
木葉、黙ってしまった裕翔を心配そうに見つめている。
裕翔(俺はこの子が好きなんだ)
裕翔、柔らかく微笑んで。
裕翔「ちなみに」
「図書館にはいつ行くの?」
木葉「明日です」
裕翔「そう」
木葉、裕翔の様子を伺い見る。
裕翔、その視線に気づいて。
裕翔「俺も久しぶりに真面目に勉強しようかな」
「そろそろ試験だし」
木葉(そういえば聞きそびれていたけど)
(どこ高なんだろう)
(でもそれを聞いて何になる?)
(マウント取ってるみたいになるよね)
木葉、裕翔を見て。
木葉「明日はバイトがお休みなので」
「一日中市立図書館にいます」
「お時間合えばぜひ」
裕翔「わかった」
「着いたら連絡する」

