アイドルプロジェクト！

「それにあたって、今回、特別講師を5名ほどお呼びしました」

パチッとスクリーンの映像が切り替わるとそこには5人の画面越しにも伝わってくる個性的な人たちの写真が貼り付けられていた。



「まず1人目は、ボーカルトレーニングを行う、カン・シウ講師。彼は韓国でも歌の講師を務め、有名な韓国アイドルのボーカルトレーニングを行ってきました。今回、このプロジェクトを聞きつけて、はるばる来日してくださいました」

写真でもわかるほど高い鼻に、雪のような白い肌。まるで女の人のような儚い美しさがある。

どんな声で歌うんだろう。きっと素敵なんだろうなぁ。
まだ会ったこともないのにうっとりしてしまう。



「2人目も、カン・シウ講師と同じボーカルトレーナーの水渕(みずぶち) カエル講師。彼女は日本の歌手としても活躍しており、数多くの名曲を残しています。皆さんも一度は見たことがあるのではないでしょうか」

あ、この人見たことあるっ。
カラフルな髪色が特徴的だったからよく覚えている。

爆発的な声量でパワフルな歌と、繊細な表現力であっという間に引きずり込まれるような歌唱力。
コミュ力も高くて親しみやすい性格をしていて、バラエティ番組に出演した際には場つなぎが上手かった。



「3人目は、主に体力トレーニングを行うダイスケ講師。彼はアイドルとしてのパフォーマンスに直接的に関わることは無いものの、皆さんをサポートしてくださいます」

眉毛は全剃りで髪の毛の左側が全て刈り上がっている。鼻にも耳にもピアスがボコボコついていてなんだか痛々しい。そんな容姿だからか、ヤンキーと言われてもナットクしてしまいそうだ。
ちょ、ちょっと怖そう…。



「4人目は、ダンスレッスンを担当する木牟礼 庵里(きむれ あんり)講師。彼女はアメリカやイギリスでダンスを学び、さまざまな大会で優勝経験がある実力派ダンサーです」

太めのアイラインで目力がバチバチにキマっていて、ビビットな金髪もずっと見ているとチカチカしてしまいそうなくらい輝いて見える。
なんていうか、ザ・アメリカンな感じがさすがダンサーって思ってしまう。




「5人目は、同じく、ダンスレッスンを担当するNOZOMU(ノゾム)講師。彼はダンサーとしてだけでなく、振付師としても活動しており、有名なアイドルのヒット曲の振り付けをいくつも手がけています」

ハットで顔の半分が隠れていて表情は読みとれず、かろうじて見える口もとは薄めの唇が真一文字にキッチリと塞がれている。
ミステリアスな雰囲気を漂わせる人だ。
表情が読み取れない人ってにがてなんだよなあ…。



「以上がこれからお世話になる講師の方々です」


…なんか、本当に個性的だぁ…。
不安が募っていく胸の中。

それは隣に座る千紗も同じようで、ゴクリとのどを鳴らした。