中はシン…と静まり返っていて、用意されたイスに女の子たちがまばらに座っていた。


部屋についている時計を見ると、9時25分。
ギリギリだっ…。
もしかしてわたしたちが最後なのかな…。



わたしたちも空いている席に腰をおろした。


そうしてすぐ、ギイという音と共にひとりの女の子が入ってくる。女の子はこの空間にひどくびっくりしたような様子で一瞬ひるんだが、意を決した様子で中まで進んだ。そして、わたしたちと同じように空いている席に浅く、ちょこんと座った。

これで席はうまったようだ。


時計の秒針だけがあたりに響く空間。




すると突然、

バンッ!

と大きな音が静まり返った部屋中に響きわたった。



みんながいっせいにそちらを見る。

び、びっくりしたぁ……。


「やあ、ショクン!待たせてすまないネっ」



いきなり現れたその人は年にはそぐわない、鮮やかな金髪に、目元を隠すサングラス。スーツのネクタイはヒョウ柄というなんともザンシンなスタイルで登場した。


「ボクはこの事務所の社長、サム・岡元サッ☆気軽に社長とでも呼んでくれヨウ!」


は、はぁ……。

なんだか、すごいテンションの人だな。
みんなも目が点になっている。


って、いうか。しゃ、社長!!!???

事務所ってことは、アイドルプロジェクトを主催しているところの社長ってこと!?


い、いきなり、それもこんなアッサリ現れるなんて。

まだ、心の準備ができてないよっ。