「ま、マレーネっ?!」
「え? マレーネ様、なんですか?」
「うううっ、わたしとロジェリオ様の結婚を応援してくれたじゃないですかあ! ロジェリオ様を誘惑するのは、ひどいですうううっ!」
「っ……マレーネ。き、きみとは結婚しないっ ピアはここにきて美しくなった!」
「は? ロジェリオ様と関わっていないから、健康的になっただけですよ?」
「ぐぅ……! そ、それでもぼくらは夫婦で!」
「ふたりともっ ひどいっ ひどいわあああっ」
前よりもふくよかになったマレーネが、顔を両手で覆い、泣き出す。
なんだろう。この修羅場。
「はあ、マレーネ様。体型が変わられたんですね。ご懐妊されたのでは?」
「えっ……」
「弟の嫁が妊娠したとき、足がむくんだり、味覚が変わったり、情緒不安定になっていました。子どもと一心同体になるわけですからね。充分に体を休めないといけませんわ。ご自身をいたわってくださいね」
「わたしが妊娠……」
「ロジェリオ様、お医者様の手配を。さあ、今すぐ!」
「えっっ!」
嬉しそうなマレーネと、蒼白するロジェリオ。
ロジェリオの動きが悪かったので、私から義母に話をつけた。
義母は「子ども!」と目を輝かせ、婚外子になってはカワイソウと口にして、ロジェリオに離婚届けを書かせていた。
離婚届けは夫から提出しないと、教会で受理されない。悲しいかな。女性が出しても無効なのだ。
一刻も早く、彼らから離れたかった私は、その日のうちに荷物をまとめ、着の身着のまま実家に戻った。
もう限界だった。
話が通じない人の相手をすることほど、疲れるものはない。
「え? マレーネ様、なんですか?」
「うううっ、わたしとロジェリオ様の結婚を応援してくれたじゃないですかあ! ロジェリオ様を誘惑するのは、ひどいですうううっ!」
「っ……マレーネ。き、きみとは結婚しないっ ピアはここにきて美しくなった!」
「は? ロジェリオ様と関わっていないから、健康的になっただけですよ?」
「ぐぅ……! そ、それでもぼくらは夫婦で!」
「ふたりともっ ひどいっ ひどいわあああっ」
前よりもふくよかになったマレーネが、顔を両手で覆い、泣き出す。
なんだろう。この修羅場。
「はあ、マレーネ様。体型が変わられたんですね。ご懐妊されたのでは?」
「えっ……」
「弟の嫁が妊娠したとき、足がむくんだり、味覚が変わったり、情緒不安定になっていました。子どもと一心同体になるわけですからね。充分に体を休めないといけませんわ。ご自身をいたわってくださいね」
「わたしが妊娠……」
「ロジェリオ様、お医者様の手配を。さあ、今すぐ!」
「えっっ!」
嬉しそうなマレーネと、蒼白するロジェリオ。
ロジェリオの動きが悪かったので、私から義母に話をつけた。
義母は「子ども!」と目を輝かせ、婚外子になってはカワイソウと口にして、ロジェリオに離婚届けを書かせていた。
離婚届けは夫から提出しないと、教会で受理されない。悲しいかな。女性が出しても無効なのだ。
一刻も早く、彼らから離れたかった私は、その日のうちに荷物をまとめ、着の身着のまま実家に戻った。
もう限界だった。
話が通じない人の相手をすることほど、疲れるものはない。

