無事に聖地に辿り着き、私は大聖堂の告解室にはいった。
聴罪司祭さまの前で、両膝を床につける。ロジェリオへの不満を散々、言おうと思ったのに、そんな気にもなれなかった。
「私は……妻という立場に囚われずに、自由に生きてみたいです。……罪深いことかもしれませんが……」
聴罪司祭さまは穏やかな笑みで答えた。
「立場に囚われずと言いますが、あなたが歩んだ道は、本当に誰かのためだったのでしょうか? 自分で選んだのではありませんか」
「それは……」
「あなたが選んだから、今のあなたがいる。それを受け止めなさい」
厳しい言葉に、私はうつむく。聴罪司祭は私にゆるしをくれた。
「自分ではない誰かを変えようとするのでは、あなたの心は豊かになりません。それは、あなたがもっとも大事にしなければいけない、自分の心を、誰かに捧げているのです」
「あ……」
「自分の心を大切にしなさい。あなたのやってきたことを誇りなさい。悲しみも、喜びも、悔しさも、あなたが勝ち取った財産です」
私が選んだもの。私が勝ち取ったもの。――ああ、そうか。
苦しかったけど、笑い飛ばしたくなる話だったけど。
結婚したことは、無意味ではなかった。
ということだろうか。
「あなたは、あなた自身をゆるしなさい。神はすでに、あなたをゆるしています」
締めの言葉を聞いた時、瞳から涙が零れ落ちていた。
「ありがとうございます」
私の離縁は成立し、贖罪司祭さまが証明書をくれた。
聴罪司祭さまの前で、両膝を床につける。ロジェリオへの不満を散々、言おうと思ったのに、そんな気にもなれなかった。
「私は……妻という立場に囚われずに、自由に生きてみたいです。……罪深いことかもしれませんが……」
聴罪司祭さまは穏やかな笑みで答えた。
「立場に囚われずと言いますが、あなたが歩んだ道は、本当に誰かのためだったのでしょうか? 自分で選んだのではありませんか」
「それは……」
「あなたが選んだから、今のあなたがいる。それを受け止めなさい」
厳しい言葉に、私はうつむく。聴罪司祭は私にゆるしをくれた。
「自分ではない誰かを変えようとするのでは、あなたの心は豊かになりません。それは、あなたがもっとも大事にしなければいけない、自分の心を、誰かに捧げているのです」
「あ……」
「自分の心を大切にしなさい。あなたのやってきたことを誇りなさい。悲しみも、喜びも、悔しさも、あなたが勝ち取った財産です」
私が選んだもの。私が勝ち取ったもの。――ああ、そうか。
苦しかったけど、笑い飛ばしたくなる話だったけど。
結婚したことは、無意味ではなかった。
ということだろうか。
「あなたは、あなた自身をゆるしなさい。神はすでに、あなたをゆるしています」
締めの言葉を聞いた時、瞳から涙が零れ落ちていた。
「ありがとうございます」
私の離縁は成立し、贖罪司祭さまが証明書をくれた。

