「いってきます。」
玄関でポツリと呟いたが、誰も反応しない。リビングからは楽しそうに話している声が聞こえ、より虚しくなる。

そんな事を思いながら、玄関のドアを開け学校に向かった。



ーーーーーー


校門の門を通ると何人かが私の方に向かってきた。
「あ、小塙さん!今日愛香(あいか)ちゃん来る?」
「私も気になってた…!今日の体育愛香ちゃんとペア組みたいんだよね〜」

また愛香の話…。

「今日は体調も良さそうだったから、大丈夫だと思うよ。」
そう言いそそくさと小走りした。

本来なら青春したり、友達と些細なことで喧嘩したりするのだろう。
でも私は、そんな楽しそうな思い出は“もう二度と“作らないって決めた。



教室に向かっていると、『ザワザワ』『ジロジロ』となにやら視線を感じる。
多分一つは、さっきの人たちみたいに愛香関係だろう。もう一つは…想像もしたくないからやめておこう