The previous night of the world revolution2〜A.D.〜

俺の予想通り。

お節介を焼いてきたのは、エルスキーであった。

「なぁ、ルナニア…。お前、最近なんかおかしくね?」

「…」

とある日の、放課後。

エルスキーがそう声をかけてきたとき、俺は内心ほくそ笑んでいた。

素晴らしい。思い通りのお人好し。

「…おかしいですかね?」

「明らかに変だ」

「変かぁ…」

そりゃ変だろう。わざとだもん。

アホのアシベルでさえ気づくくらいには、大袈裟に演技したつもりだ。

「分かった。歯医者の治療が嫌なんでしょ。きゅいんきゅいんされるんでしょ」

案の定、アシベルはそんな的外れなことを言う。

「あんたじゃないんだから、そんなに単純じゃないわよ」

そのアシベルの頭をぺしっ、とはたくミューリア。お前まで首突っ込んでくる必要はないんだけど。

まぁ別にいても良い。どうせいつかはばれるし。

「何かあったのか?悩み事でも?」

「…悩みって言うか…まぁ、悩んでるんですけど…」

俺の悩みは色々ある。『シュレディンガーの猫』のこと、ルルシーとの恋路のこと、帝国騎士団のこと、それから何より大事なのは、ルルシーとの恋路のことだ。

はぁ。ルルシー元気かなぁ。会いたい。

するとミューリアは、おどけたようにこう言った。

「何に悩んでるの?あんた、そんな悩むようなキャラだったかしら」

ぶっ殺すぞ糞女。

「俺だって悩むことくらいありますよぅ」

「だから、何に悩んでるの?言ってみなさいよ。出来る限り力になるから」

「そうそう。溜め込んでたら身体に良くないよ!」

「何だ?進路のこととか?」

「…うーん…」

俺は思い悩んでいる、振りをする。

もうちょっと引っ張るか。

「…内緒にしてくれます?」

「誰にも喋んないよ」

「あと、笑わないでくださいね?」

「誰が笑うんだよ」

「アシベルとか、いかにも笑いそう…」

「全くだわ、アシベル。あんた、笑ったらそこの窓から落とすわよ」

「ひぇっ」

ここは二階。落ちたら足の骨くらいは確実に持っていかれるだろうな。

「それで?何だよ」

「…実は、俺」

顔を赤らめ、俯き、両手で顔を覆いながら、俺は声を震わせた。





「…恋患い、してるんです」




自分で言っときながら、馬鹿なんじゃねぇの、と思った。