The previous night of the world revolution2〜A.D.〜

帝国騎士団との会合の前日。

案の定、その日俺は、エルスキーに誘われた。

「ルナニア。明日学校に集まって勉強会しようぜ。ミューリアが先生してくれるって」

ほら、来た。

しかも、今回はミューリアまで引っ張り出してきやがった。

「あんたも赤点ギリでしょ?教えたげるわよ」

ミューリアも、この偉そうな口振り。

台詞だけ聞くと傲慢なことこの上ないが、彼女はただ、お姉さん風を吹かせているだけだ。少しも嫌味には聞こえなかった。

…全く。鬱陶しい人間共だ。

「済みません。明日はパスです」

俺はわざわざ申し訳なさそうな顔を作って、そう断った。

「え?何で?」

「歯医者の予約入ってるんですよ…」

「終わってから来ても良いぞ?」

ちっ。察しろよ馬鹿。お前らと会う余裕なんてないんだよ。

それでも、俺はにこやかに会話を続ける。

「結構中途半端な時間に予約入っちゃって…。しかも明日は休日だから、予約しててもかなり待たされるみたいなんです」

全て口から出任せだった。

予約してるのに待たされるなんておかしな話だ。

「えぇ…。何でそんな日に予約しちゃったの?」

「俺だって嫌だったんですよ…。でもその日しか空いてなくて。来週になると、もう試験期間に入っちゃいますし…」

「あぁ…それなら仕方ないわね」

よしよし。良い感じだ。

「そんなぁ。ルナニアがいなかったら、俺だけがミューリア先生にしごかれるじゃん」

俺が来ないと聞いて、アシベルは半泣きであった。

ざまぁ。

「丁度良いわ。ルナニアがいないぶん、アシベルをたっぷり絞ってやらなきゃ」

「ひぃーっ!ルナニア助けてくれ!」

「あはは…。済みません」

お前、一回しこたましごかれた方が良いんじゃない?馬鹿だから。

なんて思っていると。

「そんな情けない声を出すものじゃないよ、アシベル君。カルトヴェリア家の子息ともあろう者が」

アシベルと同じく貴族の出身であるティモニー・ファルム・グラディウスが、アシベルをたしなめた。

突如現れたティモニーに、アシベルは露骨に困った顔をしてエルスキーの後ろに隠れた。

「大体君は、おふざけが過ぎる。今回の試験は、今年度最後の定期試験なんだよ?もう少し真面目にやろうとは思わないの?」

「…はーい…ごめんなさい…」

「全く…」

呆れるティモニー。

俺からすれば、こいつもアシベルに負けないくらい馬鹿なのだが。

まぁ、アシベルのようにふざけたりしない辺り、アシベルよりはましだ。

貴族としてのプライドを捨てていないところも、好感が持てる。

ランドエルス騎士官学校なんて底辺校に来ている癖に、貴族のプライドなんて馬鹿じゃないの?とは思うけど。

形だけ笑ってみせながら、俺は内心でほくそ笑んだ。

何にせよ、これで障害はクリア。明日に望むばかりだ。