俺はキッチンで、昨日買っておいたりんごをおろし器ですりおろし。

ついでに生姜湯を作って蜂蜜を入れ、それらをフューニャに持っていった。

りんごを食べてくれれば良いが、食べられそうになかったら、せめて生姜湯だけでも飲んでもらおうと思って。

「ほら、フューニャ」

スプーンでりんごをすくって、フューニャに差し出した。

「…自分で食べられます」

「良いから、ほら」

「…」

食べさせてやると、フューニャはりんごを一切れぶん程度、食べてくれた。

良かった。

「あと、これ…。生姜湯。飲めるか?」

「…苦いですか?」

「苦くないよ。蜂蜜も入れたから」

苦笑しながらフューニャにマグカップを渡してやる。

素直にくぴくぴと生姜湯を飲むフューニャを見て、俺はほっと一息ついた。

とりあえず、胃が何も受け付けないということはないようだ。

「フューニャ。夕飯、何食べたい?何も欲しくない、はなしだぞ」

「う…」

何も要らないって言うつもりだったな?さては。

「スープでも作ろうか。湯豆腐とか…。あっさりしたものの方が良いよな」

フューニャはこくり、と頷いた。

「雑炊とか、食べられそうか?」

「…はい」

「良かった。じゃあ、後で作るよ。他にして欲しいことはあるか?」

「…」

ふるふる、とフューニャは首を振った。

ったく、少しは甘えれば良いものを。

「何かあったら呼ぶんだぞ。分かった?」

「…はい」

よろしい。

俺がいたらフューニャがちょこまか動き回らないから、安心出来るな。

俺はフューニャに大人しくしているようにと再度念を押し、寝室を出た。