その晩。

フューニャは俺が作ったお粥を、茶碗一杯くらい食べてくれた。

その後薬を飲ませて休ませた。

フューニャが寝ている間、俺は何度か寝室を覗いて、フューニャの様子を確かめた。




「…」

…良くなっては…いないようだな。

夜中。フューニャは息を荒くして、しんどそうに目を閉じていた。

額のタオルを換えてやり、そっと顔の汗を拭う。

苦しそうだな…。熱も高いままだ。

昼間、大人しくしていないもんだから。全く。

少しは自分を大事にしろというのに。

「…ルヴィアさん…」

「フューニャ…。起こしたか」

寝室を出ていこうとしたら、フューニャに掠れた声で呼ばれ、俺は足を止めた。

「大丈夫か?しんどいか」

あんまりしんどいようなら、夜間病院に連れていくつもりだった。

「…平気です…」

だが…フューニャが自ら苦痛を訴えるはずがなかった。

強がるからな、この子は…。本当にしんどいときでも、それを言おうとしない。

だからこそ、俺が気づいてやらなければならないのだ。

「そうか…。無理をするなよ。病院連れてってやるから」

「…それよりも…ルヴィアさん」

「うん?」

「あなたも…ちゃんと寝ないと。私に構ってないで…。あなたも休んでください…」

思わず、俺は笑ってしまいそうになった。

全くこの子は。こんなときくらい、大人しく甘えれば良いものを。

「一日二日くらい徹夜したところで、どうってことないよ」

仕事が忙しいときは、三日くらい徹夜で本部に泊まり込み、なんてこともあるのに。

このくらい、なんということはない。

「ほら、フューニャ。俺のことは心配しなくて良いから、ちゃんと休め」

フューニャの頭を優しく撫でてやる。

彼女はまだ何か言いたそうだったが、声を出すのも辛いのか、そのまま目を閉じてしまった。

…やっぱり、具合悪そうだな。

朝までに…少しは良くなっていると良いのだが…。